詩集(秒針 日曜日の夕方 傷 滴 孤独)秒針秒針が時間を刻む 1秒また1秒と ふと僕は目をつぶってみる 僕の中の時間は止まってしまうのに 秒針は時間を刻み続ける 世界の時間は止まらない 目を開けてみると もう夕焼けが傾いていた 夕焼けを見つめていても 秒針は時間を刻み続け 何周も何周も時計を周り続ける 夕焼けがおちていくにつれ 秒針は周を重ねていく さらに周を重ねて 夜が訪れた 暗闇の中で 僕の中の時間はまた止まる そんな夜でも 秒針は時間を刻んで 世界の時間は続いてく そのままこの1日が終わり始める まだやるべき事があったのに しかし秒針は 逆に回ることを知らない この1日は無駄になった しかしこの1日を無駄にしたことは 無駄にならなかった そして秒針はまた 新しい日の時間を刻み続ける 日曜日の夕方 通い慣れた通学路 鞄を持たない今日は とても新鮮に見えた 日曜なのに特にすることもなく 色々と考えてしまい いらいらとして 行く当てもなくぶらついていた ゆっくり歩いていく 何かおきないかなと 期待が高まり しかし何もおきない現実に また僕はうつむいてしまう 強い風が吹いて 僕の髪をかき上げる 目を細めふと空を見上げると 空は夕焼け色に染まり 夕日はオレンジ色に輝いていた 夕日の神秘的なオレンジを見ていると たくさんの悩みがあって出てきたのに 全てが泡のように消え去った ふっと笑ってつぶやいた 「さぁ家に帰ろうか」 一日中一人で過ごした 休日の終わりが近づいてくる 明日からの学校も そう悪くなさそうだ そう思えてきた 日曜日の夕方 傷 ずっと前に言われたあの一言が 僕の心の大きな傷に 深い 深い 大きな傷に あれからもう ずいぶんたった 色々な事があり 傷はふさがったかのように思っていたが ある日の友達の冗談で 傷口が開いてしまった 傷はふさがったのではなく 表面がくっついただけだった あの時と同じ大きな傷 それからという物 何かと傷はつつかれた 決して治らない深い傷 二度とふさがらない大きな傷 一生心に抱えて生きていく 滴 どこからともなく滴が落ちてきた 湖に落ちて水面が揺れた 水面に映る空もかすかに揺れている 揺れがおさまり きれいな青空と共に 自分の顔が映った 暗い悲しい顔だ するとまた滴が落ちてきた 今度は滴の出所が ハッキリと分かった 真っ赤にはれた僕の目だ 今度は一滴じゃない 何滴も 何滴も 止めどなく落ち続けている すると僕の頭上から 一滴また一滴と 滴が落ちてきた 空よお前も僕のために泣いてくれてるのか やまない雨と 止まらない僕の涙 泣き疲れた僕の頭上から もう滴は落ちてこない ふと上を見ると 太陽がさんさんと輝き 空には虹が架かっている 空よ お前がはれたおかげで 僕の心も晴れたようだ ふと水面を見ると 僕の顔は 明るくなっていた 空に虹が架かったように 僕の顔にも虹が訪れたようだ 孤独 自らその手を引いた 全て自分で諦めた 自分の足で逃げ去った 手に入ったかもしれない宝を目の前に やってみなければ分からないことも わずかな可能性が残っていることも 全て自分の意志で 全て自分の心で諦めた そんな自分にとても腹が立った そんな自分に憎しみを覚えた しかしその憎しみはいつの間にか 他人へと向けられていた そして俺は仲間をも失った 結局俺は臆病なだけだった 傷つくことを恐れ 仲間を信じることすらままならなかった 結局俺は自分を傷つけたくないだけだった そんな俺が自分を憎むことなんか出来るはずもなかった 自分の過ちを他人にぬぐってもらおうなんて 甘えた考えを持っていたに過ぎなかった ついには一生懸命に守ってきた自分さえ 俺の周りにからは消えていた そして俺は孤独になった 永遠にこの地上をさまよう亡者となりて ただ一人あの日逃げた自分を恨み続けている ジャンル別一覧
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